松尾千代田法律事務所:MATSUO CHIYODA ATTORNEY OFFICE


事例紹介


新潟県迷惑行為等防止条例違反事件(痴漢冤罪事件)


 当事務所にて受任しました新潟県迷惑行為等防止条例違反事件に関し,平成26年12月26日,東京高等裁判所にて逆転無罪判決が確定しましたので,以下のとおり,ご報告致します。

事件の概要

 平成25年8月26日,当時,新潟大学医学部助教であった川嵜圭祐氏が,新潟交通路線バスの車内で,座席に座り,前の座席の背もたれを掴んでいた際,前に座っていた女性に痴漢と疑われ,同日,新潟県警に逮捕された事案。

逮捕から無罪判決までの経緯

 川嵜氏は逮捕後,一貫して無罪を主張していたものの,捜査機関は24日間にわたり同氏を勾留,平成26年3月27日の新潟地方裁判所での第一審判決では,被害者証言の信用性を肯定し,有罪判決が下されました(罰金40万円)。
しかし,同氏は,判決を不服として同年4月3日,東京高等裁判所へ控訴,同氏から依頼を受けた当事務所の松尾明弘,柴田大輔両弁護士が志澤綜合法律事務所の志澤徹弁護士,久木聡子弁護士,本郷綜合法律事務所の本郷亮弁護士と共に控訴審を共同受任致しました。同弁護団では,同氏及びご家族の協力のもと,実際に犯行が行われたとされた新潟交通の路線バスを貸切り,現地で調査,検証等を行い,控訴審において,改めて無罪を主張しました。
 その結果,同年12月11日,東京高等裁判所控訴審(村瀬均裁判長)では,バス車内に設置されていたドライブレコーダーの映像には,本件で問題となった行為は直接映っておらず,被害者の着衣から採取された付着物からも川嵜氏のDNA型は検出されなかったことを踏まえ,物的証拠が存在しない本件においては,被害者証言の信用性は特に慎重に判断する必要があると判示しました。
 そのうえで,被害者の証言には不自然な点や疑問な点などがあり,全面的に信用することはできず,原判決は経験則に照らして不合理であるとし,無罪判決が言い渡されました。なお,同判決は,検察官からの上告もなく,同年12月26日に確定しております。

 本件に関しては,当事務所においても,同氏から伺った話の内容や関係証拠等から,当初より無罪であることを確信していましたが,逆転無罪判決という結果は,何よりも同氏の最後まで諦めないという力強い意思と,ご家族,ご親族,職場の方々からの温かいサポートがあったからこその結果であると思います。
 逮捕から無罪判決が確定するまでの1年4ヶ月間もの長期間にわたり,同氏およびご家族が味わってきた苦しみは計り知れないものです。第一審判決においては,刑事裁判の原則である推定無罪を悉く無視した判決がなされましたが,今後は,今回のような冤罪事件が二度と起きないよう,捜査機関,裁判所においては,改めて刑事裁判の原則を徹底して頂きたいと切に願う次第です。<了>

新潟大学医学部医学科
更新情報(平成26年12月26日)